生活の必需品「石けん」

石鹸の成分 その1

市販の石鹸は脂肪酸のアルカリ塩を主成分としていて、洗浄補助剤として無機塩(炭酸塩・ケイ酸塩・リン酸塩など)や金属封鎖剤(キレート)、添加剤として香料や染料、グリセリン、天然油脂、ハーブ、ビタミンなどのほかにも保存料が加えられる製品もあります。無添加を謳っている製品もあります。

その一方で、脂肪酸塩以外の界面活性剤を含む製品もあります。界面活性剤の含有量によって複合石鹸、合成洗剤、合成化粧石鹸などに区分されています。

脂肪酸の種類

脂肪酸は、親水性のカルボキシル基に結合した親油性の炭化水素によって多くの種類があります。石鹸の性質はその親油性(炭素数が多いほど強い)によって変化します。 炭素数が少ない脂肪酸で作った石鹸は、親水性が強いかわり親油性が弱くて、冷水に溶け易いので油に対する洗浄力が下がります。その逆に炭素数が多いと、油汚れの洗浄力は強いのですが水には溶けにくくなっています。このようなことを踏まえて、炭素数12から18のものが良く利用されています。

脂肪酸の種類と石鹸の性質

脂肪酸名 炭素数 原料油脂の例 冷水での溶け易さ 洗浄力 皮膚刺激性
ラウリン酸 12 ヤシ油、パーム核油 溶け易い やや大 持続性小
ミリスチン酸 14 ヤシ油、パーム核油 溶ける やや粗大
パルミチン酸 16 パーム油、牛脂 溶けにくい 持続性大
ステアリン酸 18 牛脂 溶けない 特大 泡立ち中
オレイン酸 18不飽和 パーム油、牛脂 溶け易い 細かい 微弱

アルカリの種類

洗浄用途では、脂肪酸のナトリウム塩とカリウム塩が使われています。カリウム塩はナトリウム塩より溶解性が高くなっていて、固形石鹸や粉石鹸にはナトリウム石鹸、液体石鹸にはカリウム石鹸が使われています。

ヨーロッパなどの水は硬度が高いということもあって、カリウム石鹸も浴用石鹸とされていますが、日本のお水は軟水ということあって、ほぼナトリウム石鹸になっています。

この他のアルカリ金属のリチウム、ルビジウム、セシウムなどの塩も洗浄能力を持っていますが、ほとんど利用されていません。リチウム石鹸は洗浄用ではなくて、グリースの増稠剤として広く使われています。アルカリ金属以外の塩は水溶性が低くて、金属石鹸と呼ばれていますが、グリースに使う場合は水溶性を気にする必要はないので、カルシウムやアルミニウムの塩も使われています。

金属石鹸は工業的に重要です。グーリス以外にも塗料や印刷インキの乾燥促進剤(ドライヤー)として利用されるほかにも、軍事面では焼夷弾(ナパーム弾など。火を叩いても火は消えずに、犠牲者が焼死しても燃え続ける)に使われています。洗浄用の石鹸が水中の硬度成分(カルシウムやマグネシウム)と反応すると、水溶性を失って洗浄力のない石鹸カスとなりますが、これも金属石鹸になっています。